※以前書いた「短歌の作り方」のページのアクセス数が多く、「子供向けに短歌の作り方を書いて欲しい」との要望もあったので小中高生向けに短歌の作り方を書きました。
このページを読んでいる君は、おそらく国語や夏休みの宿題で短歌を作らなければならなくなったのではないかとおもいます。
ふだん短歌になれ親しんでいないのに、いきなり「短歌を作ってこい」と言われても困るよね。
僕だって「ショートケーキ作ってきて」とか「オーバーヘッドキックを覚えてきて」と言われたら困ります。
先生のムチャ振りを受けてしまった君に短歌の作り方を一つずつ書いていこうと思います。
かんたんな短歌の作り方
1.あなたの今を教えて下さい
短歌の基本の形は〈自分の気持ち〉と〈景色や物〉の組み合わです。
まず、君が今なにをしているかを書いてください。
例
・疲れたからダラダラ椅子に座ってる
次にあなたが見ている景色や、あなたがいる場所、触っているものなど、あなたの状況を教えて下さい。
例
・教室にいる
・窓の外に空が見える
・プールの授業終わった5限目
できましたか?
ではそれを組み合わせてみましょう。
・疲れたから教室でダラダラ椅子に座ってる × プールの授業終わった5限目
どうですか。「良い短歌」ではないけれど実はだいたい短歌になっています。
少し言葉を整えて57577の言葉に揃えてみましょう。
・疲れたからダラダラ椅子に座ってるプールの授業が終わった5限
プール上がりの疲れた感じを表現した短歌ができました!
2.その時のことを具体的に教えて下さい
1で作った歌を良くしてみましょう。
短歌は31音の短い詩です。なので一つ一つを具体的に書いてゆくとぐっと引き締まった良い作品になります。
31音のルールは守りながら「なぜ疲れているか」「ダラダラと何をしているか」「5限の授業が何なのか」など細かく書ける部分を具体的に書いてみましょう。
・疲れたからダラダラ椅子に座ってるプールの授業終わった5限
・疲れたからダラダラ絵地図を書いているプール授業の後の社会科
どうですか?具体的に書くと伝えられる情報が増え、歌の中の世界観が深くなります。
日常を描いた短歌の良さはちょっと渋いので、まだ分かりにくいかもしれません。
だけれど、この短歌を君のお父さんやお母さん、お爺ちゃんお婆ちゃんに見せたら、多分楽しんで読んでくれると思います。君だって20年後、30年後にこの短歌を読み返したら「あぁあの時こんな事考えていたなぁ」と、楽しく読み返してくれるはずです。
ここで宿題完成でもいいのですが、短歌を楽しく感じてくれていたら更に一歩、歌人の道を進んでみましょう。
作った短歌を面白くする方法
先ほどの短歌を面白くできないか考えてみましょう。
方法を3つ紹介します。どれか1つでもいいし、3つ混ぜてもOKです。
いろいろな言葉を入れて試して、 面白い短歌を探してみてください。
1.自分の気持をとびっきりの表現で書いてみる
あなたが何を感じて、何を想像してもいいように、短歌ではあなたの気持ちをどんな表現で書いてもOKなんです。
・疲れててダラダラ椅子に座ってるプール授業の後の社会科
この歌の「疲れてダラダラしている」はとても正直な表現だと思います。
でもこれはあなたが感じている気持ちの表現部分。もっと自由に書いてもいいんです。
「疲れ」をとびっきりの表現で書いてみませんか?
例えば
「死にそうなほど疲れて倒れている」
「子守歌が聞こえてきそう」
「羊が10頭乗ってるみたい」
「机と体が一つになりそう」
「気持ちが空に溶け込んでゆく」
書き出したらそれにさっきの下の句に合わせてみましょう。
・死にそうなほど疲れて倒れているプール授業の後の社会科
・子守歌が聞こえてきそうプール授業の後の社会科
・ずぶ濡れの羊が10頭のしかかるプール授業の後の社会科
・教科書と体が一つになりそうなプール授業の後の社会科
・眠くって気持ちが空に溶け込んだプール授業の後の社会科
どうですか?読んでいて楽しい短歌になってきたでしょ?
あなたの独自の表現の言葉を色々入れてみてください。
2.フィクションを混ぜてみる
短歌で書く内容は必ずしも本当である必要はありません。
面白い作品であればフィクションでもいいんです。
例えば
・疲れててダラダラ座ってるプール授業の後の社会科
ここにフィクションを加えてみましょう。
本当は「社会科」だったかもしれませんが「美術部」に変えてみます。
・疲れててダラダラ座ってるプール授業の後の美術部
次に「美術部」に合った言葉を上の句に入れてみましょう。
・疲れててゆがんだ顔を描いているプール授業の後の美術部
・疲れててピカソの画風が近くなるプール授業の後の美術部
・真っ青なピカソの画風が近くなるプール授業の後の美術部
言葉を入れ替えてゆくうちに想像が楽しくなりませんか?
「美術部」である必要はもちろんありません。「吹奏楽部」とか「バスケの試合」とかなんでもOK。
空想の翼をひろげてみてください。
3.音の楽しさを入れてみる
短歌はもともとは歌でした。お祭りや神事の時にみんなで歌ったのです。
なので音が楽しむのも短歌の良さの基準です。
・疲れててつらつら落書き書いているプールの後の追試の試験
「つ」の音を重ねてみました。音に合わせるためのプールの後も追試にしました。
意味が通らなくても、事実でなくても、音を楽しみを優先してみると意外な歌が出来たりします。
言葉を入れ替えながら考えてみてください。